“なんとなく不安”を減らすために50代がやったこと

理由がはっきりしないまま、なんとなく不安を感じていた50代の私が、その不安と向き合うためにやったことをまとめてみました。

はっきりした理由があるわけではないのに、ふとした瞬間に不安になることがありました。夜、布団に入った時。ふと将来のことを考えた時。このままで大丈夫だろうかという、輪郭のはっきりしない心配が、頭の片隅にずっとあったように思います。

実は、このブログを始めたきっかけの一つも、このなんとなく不安でした。
この記事では、その不安を完全になくす方法ではなく、不安とどう付き合うかを変えてきた、これまでの記録をまとめてみようと思います。

この記事の目次

“なんとなく不安”|自分だけの感覚ではなかった

まず知ってほしいのは、この感覚は自分だけの特別な悩みではなかった、ということです。

生命保険文化センターの調査(2025年度)によると、自分の老後生活に「不安感あり」と答えた人は83.2%にのぼり、8割を超える人が老後の生活に何らかの不安を抱えているという結果が出ています。

別の調査でも、50代の78%が老後資金に不安を感じているという結果が報告されています。

不安の具体的な内容を見てみると、公的年金だけでは不十分という回答が79.8%と最も多くなっており、漠然とした不安の背景には、多くの人に共通する理由があるようです。

経済コラムニストの大江英樹氏は、日本にはおよそ1750万人の50代がいて、その多くが老後不安という得体の知れない不安を抱えていると指摘しています。

これを知った時、少しほっとしたのを覚えています。「自分だけがおかしいわけではない」——それだけで、少し肩の力が抜けました。

参考・出典
生命保険文化センター|リスクに備えるための生活設計 
老後の生活にどれくらい不安を感じている? https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/1157.html

不安の正体が分からないほど、不安は大きくなる

不安とは、対象がはっきりしない漠然とした恐れの感情のことで、頭の中だけでとりとめもなく考え続けていると、不安は広がり、増強していく傾向があるとされています。

振り返ってみると、私が一番しんどかったのは、何が不安なのかがはっきりしないまま、ぼんやりと心配し続けていた時期でした。お金のことなのか、健康のことなのか、将来一人でいることなのか——全部が混ざり合って、輪郭のない黒い塊のような不安になっていたように思います。

不安の輪郭がはっきりすれば、少なくとも得体の知れないものではなくなります。この記事で紹介する行動は、すべてこの輪郭をはっきりさせるという一点に向かっていたのだと、今振り返って気づきました。

① 書き出してみる

最初にやったのは、単純なことでした。頭の中にある不安を、そのまま紙に書き出してみたのです。

不安な気持ちや気がかりなことを紙に書き出す行為には、気持ちを整理し、頭の中だけで考えるより不安を和らげる心理的な効果があるとされています。

実際にやってみると、漠然とした不安のかたまりが、「お金のこと健康のこと・将来、一人でいることへの心細さといったいくつかの塊に分かれることに気づきました。

さらに、それぞれを見ていくと、今すぐどうにかできること今はどうしようもないことに分かれることも分かりました。どうしようもないことを気にし続けるよりも、今できることに目を向けた方が建設的だと、この時初めて実感を持って理解できた気がします。

具体的な不安・心配起こりうること考えておきたい備え
老後のお金が足りるのか
夫婦なら2人の収入・年金で考えられるが、自分一人の収入・年金で生活する必要がある。
定年退職後、年金生活年金額・貯蓄・毎月の生活費を把握する
年金だけで生活できるのか
毎月入ってくるお金が限られるため、物価上昇の影響を受けやすい。
60代後半~年金の見込額を確認し、生活費を整理
医療費が心配
病気になったとき、自分の収入・貯蓄から医療費を出す必要がある。
入院・手術・通院高額療養費制度や医療保険を確認
介護費用が心配
介護が必要になった場合、自分のお金でサービスを利用する可能性がある。
70代以降介護保険制度や自己負担について知る
住居費が心配
一人で家賃・住宅ローン・修繕費などを負担する。
定年後、老後住居費が老後の家計を圧迫しないか確認
賃貸住宅に住み続けられるか
高齢になるほど住まい探しに不安を感じることがある。
引っ越し・更新時長く住める住居を早めに考える
家電や住宅設備の故障
修理・買い替えの費用を自分一人で負担する。
エアコン・給湯器・冷蔵庫などの故障家電・住宅の買い替え費用を予算化
収入が途絶えるのが怖い
病気やけがで働けなくなると、代わりに収入を得てくれる人がいない。
50~60代の突然の離職・休職生活費数か月分の予備資金を確保
詐欺・悪質商法が心配
相談できる人がいないことで、一人で判断してしまう可能性がある。
電話・訪問・ネット通販その場で契約しないルールを決める
お金の管理が面倒になる
口座・保険・カード・サブスクなどをすべて自分で管理する。
高齢になったとき金融機関・保険・契約を一覧化
自分が判断できなくなったらどうするか
判断能力が低下したときに、財産管理を頼める人が必要になる。
認知機能の低下など任意後見制度などを早めに知っておく
病気になったときが怖い
自宅で体調を崩しても、すぐ気づいてくれる人がいない。
夜間の急病など緊急連絡先・救急時の情報を準備
転倒・骨折が心配
転んでも自分で助けを呼べない可能性がある。
浴室・階段・夜間など住まいの危険箇所を減らす
入院したらどうするか
入院の準備や手続き、退院後の生活を一人で考える必要がある。
入院・手術病院の相談窓口を知っておく
退院後の生活が不安
退院しても買い物・料理・掃除などがすぐできない場合がある。
骨折・手術後など宅配食・ネットスーパー・家事支援を調べる
通院が難しくなる
年齢とともに病院へ通うこと自体が負担になる。
複数の病院への通院交通手段・オンライン診療等を確認
食事が乱れる
体調が悪くても、自分のために食事を用意しなければならない。
疲労・病気・加齢宅配食・冷凍食品などを上手に利用
体力が落ちる
買い物・掃除・ゴミ出しなど日常生活そのものが負担になる。
60代以降無理のない運動・生活支援を検討
認知機能の低下が心配
自分の変化に自分では気づきにくい。
高齢期定期的な健康チェック・人との接点を持つ
薬の管理が大変になる
飲み忘れや重複などを自分だけで管理する必要がある。
複数の薬を服用する場合お薬手帳・服薬管理を活用
自宅で倒れたら誰が気づくのか
一人暮らし最大の不安の一つ。
自宅での急病・事故見守りサービス・定期連絡などを検討
災害時に一人で避難できるか
体調や体力に問題があると、一人での避難が難しい。
地震・台風・豪雨避難場所・避難経路・支援者を確認
将来ずっと一人なのが不安
何かあったときに相談できる人がいないという不安。
日常生活・老後家族以外にも友人・地域とのつながりを作る
病気になったら誰に連絡するのか
救急時や入院時に連絡する相手が決まっていない。
急病・事故緊急連絡先を2人程度決めておく
入院時に頼れる人がいない
書類・荷物・退院時の対応などを誰に頼むか迷う。
入院病院の相談窓口や支援制度を確認
介護が必要になったらどうするのか
家族に介護を頼れない、または頼みたくない。
70代以降地域包括支援センターを知っておく
誰とも話さない日が増える
仕事を辞めると、人との接点が急に減ることがある。
定年退職後趣味・地域活動・友人との交流を持つ
孤立するのが怖い
困ったときに相談できる人がいない状態になりやすい。
退職・引っ越しなど家族以外の相談先を複数持つ
外出しなくなる
一人暮らしでは、誰かに誘われる機会が減ることがある。
高齢期買い物・趣味・地域活動など外出の目的を作る
人に迷惑をかけたくない
頼るのが申し訳ないと考えてしまう。
病気・介護など早めに助けを求める習慣をつける
判断を一人でしなければならない
医療・介護・お金・住まいなど重要な問題を一人で決める場面が増える。
老後の生活相談できる専門窓口を把握する
自分が亡くなった後が心配
葬儀・家財・住居・契約などを頼む人がいない可能性がある。
死後エンディングノート・遺言・死後事務を検討
ペットを残してしまうのが心配
入院や死亡時に世話を頼める人が必要。
急な入院・死亡預け先・世話を頼む人を決めておく
もしものときが漠然と怖い
具体的な対策が分からないため、不安だけが大きくなる。
常日頃不安をお金・健康・人に分解する
しっかり貯金ブタ

一人で暮らすと、一人ですべてを抱えることとは違います。
50代・60代の一人暮らしでは、元気なうちに自分でできること誰かに頼ることを分けておく
それだけでも、何かあったらどうしようという漠然とした不安を、具体的な備えに変えていくことができます。

② お金を”見える化”する

書き出した不安を見返してみると、その多くが、結局はお金に関するものでした。

以前の記事でも書きましたが、私は自分の収入・支出・貯蓄を、具体的な数字として見える化することに取り組みました。

数字として見えるようになったことで、なんとなく足りない気がするという漠然とした不安が、この部分は大丈夫そうだ・この部分はもう少し整えた方がいいという、具体的な課題に変わりました。

固定費を見直したことも、家計簿をつけてみたことも、振り返ってみれば、すべてお金の見える化という一つの目的でつながっていたのだと、今になって気づきます。当時は個別のノウハウとして取り組んでいたつもりでしたが、根っこにあったのは不安の輪郭をはっきりさせたいという同じ動機だったのだと思います。

③ 頑張りすぎるのをやめる

一方で、不安を減らそうとする行動そのものが、新しい疲れを生んでしまうこともありました。

以前の記事で書いたポイ活の話がまさにそうです。少しでも得をして、少しでも不安を減らそうと頑張るあまり、逆にその行動自体に疲れてしまっていました。

やることを絞る・他人と比べるのをやめるという考え方は、お金の管理だけでなく、不安との付き合い方全体に通じるものだったと、今は思います。不安を消そうと頑張りすぎることが、かえって新しい不安の種になることもあるのだと学びました。

一人暮らしならではの不安と備え

正直に書くと、一人暮らしならではの不安もあります。何かあったときに、すぐ頼れる相手が身近にいないという心細さは、家族と暮らしている人にはあまりない感覚かもしれません。

この不安そのものをなくすことはできませんが、実務的な備えはできると気づきました。
緊急時の連絡先を整理しておくこと、いざという時に頼れる人や機関をあらかじめリストアップしておくこと——。
不安そのものは残っても、いざという時の道筋が用意されているだけで、気持ちは少し軽くなりました。

一人暮らしならではの備え

不安や困りごと起こりやすいこと事前の備えとして頼れる人や窓口
急病・けが自宅で倒れても発見してもらえない緊急連絡先を決める・スマホの緊急情報を登録・救急時の情報をまとめる家族・友人・近隣・119
救急搬送意識がなく、自分で病歴や服薬を説明できない持病・服薬・かかりつけ医・緊急連絡先を一覧化家族・友人・医療機関
入院時の身元引受け入院手続きや連絡先を求められることがある病院に「身寄りがない場合の対応」を事前確認病院の相談窓口・地域包括支援センター
退院時荷物の受け取り、移動、生活準備などを一人で行う退院後の生活を事前に相談病院の医療ソーシャルワーカー等
家に帰れない入院・手術後などに一時的に生活が難しくなる宅配食・ネットスーパー・訪問介護等を調べておく自治体・介護事業者・宅配サービス
安否確認数日間誰にも気づかれない可能性定期連絡・見守りサービスを利用家族・友人・自治体・民間サービス
災害避難判断や避難所への移動を一人で行う必要防災バッグ・避難先・連絡方法を決める自治体・近隣・地域の防災組織
停電・断水復旧まで一人で対応水・食料・モバイルバッテリー等を備蓄自治体・近隣
認知機能の低下お金・契約・薬などの管理が難しくなる財産・契約を整理し、必要なら成年後見等を検討社協・司法書士・弁護士等
お金の管理入院などで銀行に行けなくなる支払い・口座・保険などを一覧化家族・専門職・金融機関
詐欺・悪質商法相談相手がいないため、その場で契約してしまう「その場で契約しない」をルール化消費生活センター188
スマホ・ネット詐欺フィッシング・不正請求に気づきにくい重要サービスの連絡先を紙にも保存携帯会社・金融機関・188
家のトラブル水漏れ・鍵・停電などを一人で解決する必要管理会社・大家・修理業者の連絡先を保存管理会社・大家
介護が必要になる自分で介護サービスを探すのが難しくなる早めに地域包括支援センターを知っておく地域包括支援センター
買い物ができない入院・けが・体力低下で外出できないネットスーパー・宅配食・移動販売などを確認民間サービス・自治体
ゴミ出しができないけが・体力低下でゴミ出しが困難自治体の高齢者向け支援を確認自治体・地域包括支援センター
ペット入院すると世話をする人がいない預け先・世話を頼む人を決める家族・友人・ペットシッター等
郵便・新聞・宅配物不在が続いても異変に気づかれにくい長期不在時の対応を決める家族・友人・管理会社
判断能力が低下する契約・財産管理・医療などの判断が難しくなる任意後見制度などを元気なうちに検討公証役場・専門職等
亡くなった後葬儀・家財・賃貸住宅・デジタル情報などの整理を頼む人がいないエンディングノート・遺言・死後事務を整理家族・専門職・自治体等

50代・60代から始める一人暮らしの備え10項目

一人暮らしの備え10項目
① 緊急連絡先を2人決める
② 持病・薬・かかりつけ医をまとめる
③ スマホの緊急連絡先・緊急情報を設定
④ 自宅周辺の地域包括支援センターを調べる
⑤ 災害時の避難場所を確認
⑥ 家の管理会社・電気・ガス等の連絡先を整理
⑦ ネットスーパー・宅配食などを1つ試しておく
⑧ 見守りの方法を1つ決める
⑨ 財産・保険・重要書類を整理
⑩任意後見・遺言・死後事務などを必要に応じて検討
任意後見制度は、判断能力が十分なうちに、自分で選んだ人に将来の生活・療養・財産管理などを任せる契約を公正証書で結んでおく制度です。
しっかり貯金ブタ

一人で暮らすために、誰か一人に頼らなくても困らない仕組みを少しずつ作っておくことが大切ですね。

参考・出典
厚生労働省|成年後見はやわかり|任意後見制度とは
https://guardianship.mhlw.go.jp/

それでも、不安が完全になくなったわけではない

これらの行動をしたからといって、不安が完全になくなったわけではありません。

老後のこと、お金のこと、この先ひとりで暮らしていくことへの心細さは、今も時々顔を出します。ただ、以前のような得体の知れない不安ではなく、向き合い方が分かっている不安に変わったという実感はあります。

なお、これはあくまで私の場合の話です。

しっかり貯金ブタ

もし日常生活に支障が出るほどの不安が続く場合は、一人で抱え込まず、心療内科やカウンセラーといった専門家、あるいはお住まいの自治体の相談窓口に相談することも、大切な選択肢の一つだと思います。

まとめ

理由のはっきりしない、なんとなくの不安。それが、このブログを始めた原点でした。

書き出してみること、お金を見える化すること、頑張りすぎるのをやめること——
一つひとつは小さな行動でしたが、積み重ねることで、不安の輪郭が少しずつはっきりしてきたように感じています。

もしあなたも同じようななんとなく不安を抱えているなら、これまでの記事もあわせて読んでみてください。

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